花札で『牡丹に蝶(6月)』『萩に猪(7月)』『紅葉に鹿(10月)』に札を揃えると『猪鹿蝶』という役になる。
10点札は他にも『梅に鶯(2月)』『藤の時鳥(4月)』『菖蒲に八橋(5月)』『芒に雁(8月)』『菊に盃(9月)』『柳に燕(11月)』とあるのに、なぜこの3つが選ばれたのか。
猪は「しし」とも呼ばれている。猪鍋は「ししなべ」と読む。
鹿も「しし」という。鹿威は「ししおどし」と読む。
では蝶はどうなるのか。じつは、これには描かれている花が手がかりとなる。描かれている花は『牡丹』。牡丹につきものは唐獅子だ。つまり、これも「しし」なのである。
つまり『猪鹿蝶』は『しし揃』の役というわけなのだ。